痛みの原因とは?

1.痛みの定義

 痛みとは身体の中で最も不快な感覚になります。一般的に痛みは、身体が何かしらの危険な状態が起きていることを警告するセンサーの役目になり、痛みは本来、身体や命を守る生命活動に欠かせない役割をもちます。

 

 世界(国際)疼痛学会では、痛みとは、組織損傷に伴う不快な感覚であり、情動体験であると定義されています。

 

 痛みの程度は様々で、軽い症状のものから、我慢できる程度のもの、耐えられない重度の痛みなどがあります。また、経過としては短い期間で出現する急性の痛みもあれば、長い期間伴う慢性的な痛みもあります。

 

 このように個々によって痛みの閾値(いきち)が異なりますが、耐えられない重度の痛みを長い期間、放っておくと身体に多大なるダメージを与え、日常生活を送ることすらままならないような状態になることもあります。

 

痛みの発生メカニズム

身体の痛みの伝わり方としまして、まず何かしらの影響にて刺激などを受けることが痛みの始まりになります。それを『侵害刺激(しんがいしげき)』といいます。

 

『侵害刺激』とは、組織が実質的に損傷されるか、また危険性のある刺激のことになりますが、その刺激がある一定以上の強さに達することで、組織の損傷を引き起こし、ブラジキニンやプロスタグランジンといった発痛物質や発痛増強物質が生産されます。

 

  そこを経て、末梢神経(まっしょうしんけい)先端にある侵害受容器で刺激を感知し、神経の繊維を通り、脊髄へ伝わります。

 

  そして、感覚神経を通じて脊髄に伝えられた痛みの信号が脳(大脳)へ伝えられ、『痛み』を認知します。

 

  この一連の流れが痛みの発生メカニズムになります。

 

※末梢神経とは?

 

  • 手足を動かすための運動神経
  • 感じたものを脳に伝えるための感覚神経
  • 内臓などの働きに関係する自律神経

があります。

 

痛みの種類

侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)

痛みの中のほとんどが、この侵害受容性疼痛で組織の損傷を感知する痛みの侵害受容器への刺激に起因する痛みになります。

 

例えば、怪我をして組織が壊れた細胞からプロスタグランジンという『痛み・熱・腫れ』を引き起こす成分が体内に作られます。

 

この後、ブラジキニンという成分が血液から分離され、この物質は神経自体の感受性を高めて神経を過敏にしてしまうので、プロスタグランジンの効果を増大させてしまいます。

 

訴えとしましては、うずくような痛み、鋭い痛み、ズキズキする痛み、鈍い痛みな

どが訴えとして多く聞かれます。

 

神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)

何かしらの原因により神経そのものが損傷されて発症する痛みを神経障害性疼痛といいます。

 

統計では40代以上の方に多く、日本国内では約660万人以上の方がいると推定されております。

 

神経が損傷すると神経そのものが炎症を伴いますので、それだけでかなりの激しい痛みが発生します。

 

主症状としては、『ビリビリ』、『ジンジン』、『チクチク』といった痛みが伴います。このような痛みは、『電気が走るような』や『焼けるような』といった表現をされる方が多く、

 

衣服がこすれるだけでも激しい痛みが出現する方もいらっしゃり、神経自体が異常な興奮を引き起こしていると考えられています。

 

中枢神経障害性疼痛(ちゅうすうしんけいしょうがいせいとうつう):心因性疼痛

不安や社会生活で受けるストレスや心理的・社会的要因で引き起こる痛みになります。

 

医学的に明らかな原因は不明と言われており、原因としては『心の病気』と言われたこともあり、『心因性疼痛』と呼ばれています。線維筋痛症に伴う痛みもこの分類に含まれると言われています。

 

脳に何かしらの変化、いわゆる脳の機能異常が痛みの感受性を敏感にさせている可能性が考えられています。

 

4.痛みが慢性化すると?

  痛みが伴うと心理的・精神的に痛みがない場合と比べて行動量に変化が伴います。痛い

からといって過度に安静にする方が多いですが、このような状態になると運動不足とな

り、次第に筋力が低下していきます。

 

  そういう状態が続きますと、身体を上手く支えることが難しくなり、膝や腰への負担が

増大して痛みは慢性化していくことが分かっています。

 

  また、痛みが続くことで、このまま改善しないことへの不安感や心配、家庭や職場のス

トレスは更に痛みを慢性化させる原因に繋がります。

 

5.痛みの対処方法

急な痛みや継続する慢性的な痛みで対処方法が異なってきます。

 

急性期の痛み

急性の痛みは炎症が伴います。炎症が起こると少なからず熱感(ねっかん)や腫脹(しゅちょう)を伴いますので、このような状態で温めてしまうと返って症状を悪化させてしまいます。

 

方法としましては、寒冷療法といって、いわゆる氷水や冷却シートなどのアイシングにて患部を20分〜30分程度、冷やすことがとても大切になります。

 

慢性的な痛み

長い期間痛みが伴いますと、代謝や血流の低下を引き起こし、循環機能が悪くなってきます。循環機能が悪くなってくると、筋肉が硬くなり何をしても緩まなくなってきます。そのため、代謝や血流の改善を図り筋肉を緩めていく必要があります。

 

代表的なものが、温熱療法や運動療法になります。

 

温熱療法にはホットパックやマイクロウェーブで身体を温めることで筋肉が次第に柔らかくなってきます。

 

運動療法ではウォーキング(週3回以上30分程度)やストレッチを行うことで、代謝や血流が高まり、循環機能の改善に繋がります。

 

当院ではこのような痛みの種類に応じて、充分なカウンセリングや検査を実施し、痛みの本当の原因をみつけることが可能となっております。

 

症状のぶり返しがないような個々に合わせたセルフケアもお伝えさせて頂きますので、安心して施術を受けることができます。